クリエイティブライティングという世界

せっかくアメリカに来ているのだが,実は特に英語を使う機会が増えたというわけでもない.
なので,英語力向上のために努力する必要があると感じている.

とりあえず,英作文のワークショップ(大学内にライティングセンターという部局がありそこが主催)に参加してみる.
ネイティブの学部生向けの内容なので,自分には合わないところ(当たり前すぎるところや難しすぎるところ)はあるものの,
こちらの作文文化に触れられるという意味で参考になった.

今日は元々アカデミックなエッセーの推敲の仕方,という話の予定だったのだが,クリエイティブライティング専攻の学生がほとんどということで,そちらをターゲットにした話になる.

そもそも文章を書くことを専門にする専攻がある(クリエイティブライティング以外にもジャーナリズム専攻もある)というあたりが,アメリカの素晴らしいところだと思う.
日本の文学部は,実情を知らない上での偏見だが,文章の観賞や批評をする所で,創作をもっぱらにする文芸学部的なところは少ないのでは?
ジャーナリズムについては,いくつか新聞学科のようなところがあったとは思うが.


それで推敲のワークショップのはずだったのだが,なんとなく創作入門のような流れになる.
文章の構成方法の分類(時系列だったりエピソード主体だったり),時制や人称の選び方(三人称過去等)により表現上どのような利点と欠点があるか,といった話がなされる.
それぞれの文体の代表的な作家や作品などにも触れながらだが,そこはちょっと知識がなさ過ぎてフォローできなかったものの,文芸上の常識情報も少しわかった.例えば,E.B. WhiteのOnce More to the Lakeというのが,アメリカでもっとも有名なエッセイだそうだ.


たった一時間のTAによる話だったのだけれど,ずいぶん自分にとっては未知の世界で,とにかく創作がシステマティックに語られるのがおもしろかった.
こういう背景があるから,英文学にはものすごい厚みがあるんじゃなかろうかと思ったりもする.作家の数や出版点数を調べるのはサボりますが.
そう思うと,基本的に独学でそれなりに作家を輩出している日本の文壇は大したものだという気もしないでもないが,一番の違いはそういったトップ層ではなくて,一般層のレベルで出てくるのかなと思っている.
例えばアメリカのブログの記事の長さだとかは,この程度の日記記事を欠くのにも苦労している自分からすれば驚異的だし,Amazonのコメントの日米比較をすれば,作文能力や意欲の差は一目瞭然である.

そういえばアメリカの書店に行ったら,クリエイティブライティングの平積みセクションがあったし,作文というのが行き渡っている社会なんだろう.


日本語作文の本は元々数が少ないようで,主なところは読んでしまった気もしているので,英語の作文術の本を読んでそれを日本語で書くときにも生かすという方向性もあるかもしれない.