【読書感想文】闘うプログラマー
1994年出版の,マイクロソフトでNTが開発されたときの様子を人間ドラマとして描いたノンフィクション.
読み終わっていないけれど,忘れないうちに書いてしまう.
この本を知ったきっかけは,確か1995年の学部生だったころに「この業界(IT業界?)を知る上で,伝説のプログラマーとしてのデイブ・カトラーは知っといた方がいい」という話の流れで,紹介されたこと.
それで彼の名前と本の名前とはすっかり記憶に刻み込まれていたのだけれども,当時は今以上に行動力がなくて,読み始めることができなかった.その時読んでいたら人生が変っていたということはないと思うのだけれど.
さて,それから月日がたちようやく手に入れようと思い立ったころ,なんと絶版になっており
*1,古書で手に入れる.有名本だと思っていたので,ちょっと意外だった.
実際読み進めてみて,これが絶版になってしまったのは,翻訳の流れの悪さと(原文の問題かもしれないが,文と文のつながりがなかったりとか)向こう流のウィットの聞いた文章(日本の読者にとっては意味不明な場合も多そう)の多さが原因かなという気もしている.
中身はもちろん相当に面白いし,お薦めできるのだけれど,OSの役割をイギリスの貴族の邸宅で召使いが働いている様子に例えたり(英米文化の理解が前提?),メモリ管理をレストランの駐車場の例えで説明したり(西海岸的生活風景?),技術的にはおそらく正確な比喩になっているのだろうけれど,どうにもなじみにくい.
表現の問題は,作者がジャーナリストであって作家ではないから,仕方がないのかもしれない.その分取材は徹底していて,よくぞここまで調べたものだと思う.おそらくこの時期にマイクロソフトで働いていても,ここに書かれていたことのほとんどのことには,気がつかなかったのではないだろうか.
個人的には,実名での人物描写が容赦ないのにびっくりする.架空の例だが,
ポールは陰気な男で,時折浮かべる笑顔はむしろぞっとするほどだった.およそ友人と呼べるものは誰もいなかった.
というような紹介の仕方をするのである.本人も本人の家族とかも,これではたまらないと思うのだが,これが文化差ということか.
訳が悪いような書き方をしてしまったが,このタイトルは良いと思う(原題はShow Stopperで,しっくりこない).
- 作者: G.パスカルザカリー,G.Pascal Zachary,山岡洋一
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 1994/12/07
- メディア: 単行本
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分かっている人による実のある書評が読みたい方はこちらなどがいいのではないでしょうか.
*1:今アマゾンへのリンクを張ってみたら,新装版が出ているっぽいですね...
ものすごく間が悪い.中身は同じと予想して購入は控えます(が,多分解説は新しくなっているんだろうな).